Origin of Symmetry (of Muse)

Origin of Symmetry
(2001/07/17)
Muse
★★★★★
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英国のロックバンドMuseのセカンドアルバムで、英国レコード産業協会からプラチナディスク認定(30万枚)されている。【BPI

プログレッシブ・ロック、シンフォニック・ロックなどと参照されるが、乾いた退廃性を想起させるRADIOHEADに対して、粘着質で妖艶な退廃性がMuseのサウンドの特徴である。

Nirvanaなどのアメリカにおけるオルタナティブロックの影響も強く、ゴリゴリしたメタリックな音も好んで鳴らす。さらに、ピアノやオルガンによりクラシカルなサウンドを導入すると共に、ギターリフやベースラインを通してそのメロディやフーガなどの技法を間接的に用いている。

これらの異なるサウンド群の重なりは、極めて装飾的でグロテスクささえ包含するが、これこそがRADIOHEADとは異なる種類の退廃性の源泉である。また、クラシックそのものであるような静のフェイズと激情的なグランジのサウンドは、主と従の関係というよりも互いに破壊しあうことで曲にダイナミズムを与えている。さらに、これに被さるマシュー・ベラミーのボーカルは、過剰に情緒的で超絶的である。


Origin of Symmetry

1. New Born (2nd single)

★★★★★
【Music Video】
バロック音楽とロックの融合から創造されたかつて無いサウンド。イントロにおけるバッハのフーガ曲のような美しくナイーブな旋律は、ノイズで破られ暴力的なビートに破壊される。バックグラウンドで鳴るベース音は、有無を言わせぬ圧迫感と共にバロック音楽のような荘厳な音響空間を構成。そのサウンドの伽藍は、極彩色の歌唱により毒々しい色彩を放つ。

2. Bliss (3rd single)

★★★★☆
【Music Video】
SF的なエレクトロニカサウンドをバックに、ドラマチックで粘りつく歌声が響く。

3. Space Dementia

★★★★☆
深海から響くようなピアノの美しい音色で始まり、激情的なラフマニノフを思わせる旋律で曲が幕開ける。真夜中の凪の海か深海、若しくは宇宙空間のような僅かな煌めきのある暗闇がイメージされる。

4. Hyper Music (4th single)

★★★★★
【Music Video】
不協和音で幕開けるイントロ、その後に、のた打ち回るようなギターリフが続く。全体を通して激しくノイジーだが、そのエッジの効いたリフが曲に静と動のダイナミズムを与えている。

5. Plug in Baby (1st single)

★★★★★
【Music Video】
メタリックなギターによる、バッハ的な旋律のリフで曲が始まる。これに重ねられるファジーなベースラインは、かつて聞いたことがないほど分厚い。また美しく艷やかにビブラートする歌声は、聴くものに突き抜けるようなカタルシスを強要する。

6. Citizen Erased

★★★★★
【YouTube】
メロディラインがなくなるほどにファジーが利いた、ギターとベースによる分厚いノイズの海。ダークな雰囲気に、艶やかな歌声。

7. Micro Cuts

★★★☆☆
オペラの歌唱法における特徴的な部分だけを取り出したかのようなボーカルで全体を歌い上げる。

8. Screenager

★★★☆☆
ラテン風のギターの旋律と奇妙なパーカッションの音色による気怠いサウンド。

9. Darkshines

★★★★☆
渋い南欧の歌謡曲的サウンド。ベラミーの歌声は激情的。

10. Feeling Good (cover)

★★★★★
【Music Video】
ミドルテンポで、スモーキーな雰囲気も漂うサウンド。原曲の渋い歌唱法に追随しつつも、時折立ち現れる艶やかな声色にMuseの独特さを強く感じさせる。

イギリスのシンガーソングライターであるAnthony NewleyとLeslie Bricusseによる作詞作曲。1965のミュージカル『The Roar of the Greasepaint - The Smell of the Crowd』のために書かれ、ジャズシンガーNina Simoneなどにもカヴァーされている。

11. Megalomania

★★★★☆
ラテン民謡に荘厳なパイプオルガンという奇妙な取り合わせ。そして、クイーンの『Bohemian Rhapsody』のような展開。

12. Futurism

★★★★☆
背徳的な印象を受ける、バロック的ベースラインに歪曲したギターリフが作るサウンド。


感想

今までの生涯で一番聴いたアルバムです。『Origin of Symmetry』でMuseを知った私ですが、『New Born』にはかつてないほどの衝撃を受け、その奇妙なベースラインの虜になりました。


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